http://danceofdeath.go-th.net/books/book_3立体イラストレーションII 究極のハンドメイドクリエーション
またまた仙台市民図書館で借りた本です。タイトルに「立体イラストレーション」とありますが、要するにハンドメイドの立体造型作品およびその作者を紹介した本です。ちなみに「II」ということは「I」もあるのかな…と思ったらなぜかなく、これだけがピンポイントで選書されて収蔵されていました。なぜ?と不思議だったんですが、中を見て納得。
スチームパンク偏差値が異常に高い。
いや、もちろん本書はスチームパンクに特化した作品集ではないし、もちろんスチームパンクなモチーフや作風を選んでいないアーティストの作品も多数紹介されています。それでも、全体的にスチームパンクテイストの作品が多いのです。他にも作品写真があっただろうになぜこれを選んだ?というページが目立ち、私としては大変眼福でした。それにしてもただ「立体イラストレーション」という言葉からは普通スチームパンクを連想しないですよ。これは何気に隠れた良書と言えるでしょう。
もうこれなんてスチームパンク(もしくはクロックパンク)以外の何物でもないし。
これも電飾を仕込んでいる時点で言わずもがな。
「立体イラストレーション」と「立体造型」の違いは何か?それについては本書では触れられていません。しかし大雑把に立体造型は「それ自体を鑑賞するアート作品も含む」に対し、立体イラストレーションは「主に広告の撮影で使用されるもの」とされています。つまり、実際に展示販売するか、”撮影したもの”を使用するかという違いでしょうか。ということで、本書に収録されている作品はいずれも何かの広告や印刷物、Web媒体などに使用されたもの。それでこれだけ多くのスチームパンク的作品があるということは、スチームパンクというジャンルや作風が一般認知されつつあるのかもしれません。
個人的に嬉しかったのは、フィギュアや特殊造型の分野で活動するアーティストもフィーチャーされていたこと。あ!この人の作品ホビージャパン別冊「S.M.H.」で見た!と懐かしくなりましたね。
S.M.H.とは…かつてホビージャパンが本誌である模型雑誌「ホビージャパン」の別冊として刊行していた季刊アート系模型雑誌。竹谷隆之さんや故・韮澤靖さんをはじめとする多くのクリーチャー系&アート系模型アーティストをフィーチャーし、その認知度を高めた。現在はとっくに廃刊。
で、作品ごとに製作過程を紹介するHow Toコーナーもあるんですが、見るのとやるのとでは大違いです。スカルピー彫刻なんてぱっと見で上手くできるわけねえだろ!
この方の作品を知ったのもS.M.Hがきっかけでした。東京に住んでいた頃はワンフェスに行ったら毎回ブースに作品を見に行ってました。
で、作品のキモである型取りのHow Toを公開。FRPに大理石の粉末を混ぜることで、ほんわかしたすりガラスのような質感を表現するのだとか。
あと驚いたのは、特殊メイク・特殊造型アーティストの高柳祐介さんも紹介されていたこと。高柳さんの作品も立体イラストレーションに入るんですね。
こういう作品大好き。
最後に驚いたのはこれ。一見どんな素材で作られているのが分かりませんが、なんとこれ全部紙!つまりペーパークラフト!当然全てのパーツをカッターで手作業で切り出しているそうですが、歯車の切り出しなんて想像すらしたくありません。というか紙でこの質感と緻密な構造を表現するとは…。あとやっぱりこれもスチームパンク偏差値が高い。
もう仙台市民図書館にスチームパンカーな司書がいるのは確実ですね。
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