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DANCE OF DEATH

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夢のアロマ VENEZIA

私は「死ぬまでに絶対に行かなければならない」と思っている場所があります。それはカーニバルのシーズン(2月)のイタリア・ヴェネツィアです。でも比較的安いと言われているHISのパックツアーを見たら安いプランでも40万円しました。そう、現在のヴェネツィアの主な収入源は観光収入。中でも一大イベントである”仮面祭”カーニバルは稼ぎ時なのでホテルから何からなにまで特別価格になってしまうのです。


本書はそんな”お高い”ヴェネツィアのカーニバル”の風景を切り取った写真集です。表紙に大きく仮面があしらわれていますが、仮面を着用しているカーニバル参加者”だけ”を被写体にした内容ではありません。カーニバル参加者を含めたヴェネツィアという街の風景を切り取った内容となっています。

それにしても素晴らしいのは色彩感覚。まあ絶対後から加工しているとは思うのですが…


赤い壁と、赤と黒のドレスを着た参加者の組み合わせ。よくぞ都合良くこの壁に合うコーディネイトの参加者がいたものです。それか場所を指定してここでポーズを決めてもらったとか?あと壁も、綺麗にペンキが塗られた壁ではなく傷んでいるのがむしろ良いですね。


あとこれも奇跡のような組み合わせです。夕暮れから夜になるほんのひと時の空の色とライトの色、それにピッタリな青いドレスと金の仮面の参加者ペア。もう完璧過ぎる。


カーニバルの参加者はペア~複数人でコーディネイトやモチーフを合わせて「チーム」として楽しむ人が多いようですが、敢えてたった一人で佇んでいる参加者をフィーチャーした写真も赴きがあってよいものです。これは地位や権力を持つ男性を表す「バウタ」という仮面を着用した参加者。ポーズを決めるでもなく、ただそこに座っているだけというのがいいですね。この景色に調和しているように思えます。


こんな肌が見える箇所がひとつもないコーディネイトが個人的に好きです。実際、中世の頃のカーニバルは社会的地位や職業、身分、年齢、性別すらも飛び越えて乱痴気騒ぎするために仮面を着用していたそうなので、年齢不詳・性別不明な仮装はオリジナルのカーニバルの精神を受け継いでいるといえます。


これも完璧!おそらく一切加工していない、太陽光の元で撮影した写真ですが、男女共にピンクをあしらった衣装を着ているペア参加者の後ろに、ピンクのペイントをしたアーチが見えるという。
なお、本書はカーニバルの参加者が一切写っていない、日常のヴェネツィアの風景も多数収録しています。それがまたいいんですよ。




もはや色彩の洪水。
これを見て思うのは、ヴェネツィアのカーニバルは「ヴェネツィア」という街でやるからこそ意味のあるイベントだということです。例えば、この街並みが美しいからといってそっくり同じものをテーマパーク的に作り、そこで仮面や衣装を着てカーニバルをやったとしても、結局それは偽物で、おそらくヴェネツィアのカーニバルのような雰囲気は出ないでしょう。たとえ参加者がヴェネツィア市民でなくても、イタリア国民でなくても、この時期にヴェネツィアに来て、この街の空気の中で仮装するからこそカーニバルになる。街あっての行事であることが心底理解できます。
 



こんな世界観は日本では絶対に出せない。

夢のアロマVENEZIA

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