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DANCE OF DEATH

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「ショーン・タンの世界展」in石森漫画館

ワンフェスから帰ったその足で、かつほぼ徹夜状態で石巻市にある石ノ森章太郎先生をフィーチャーした美術館「石森漫画館」にて開催されている「ショーン・タンの世界展」を見に行ってきました。開催が2月11日だったので滑り込みで間に合いました…。






石森漫画館は北上川の中州に建設されており、そのデザインモチーフは「宇宙船」。地方都市の川の中に忽然と現れる曲面を多用した建築物はシュールで、近くに寄れば石ノ森先生の作品の世界観を反映した「レトロフューチャー」な雰囲気が如実に感じられました。あと入る前から記念撮影に良さそうなスタチューや手形、展示物などが多数置かれており”映え”も意識しているのだろうか…なんて考えてしまいました。なんかもう玄関から「楽しそう感」が溢れています。




こちらは「仮面ライダードライブ」に登場した車「トライドロン」。設定にあるスペック的にはランボルギーニあたりと同じくらいでしょうか。なんかこう、ドバイ警察がランボルギーニをパトカーにしているみたいな感じ。








入ってすぐ左手にギャラリーショップがあったのですが、その見せ方がまた上手い!ガラスを挟んで外と中で一つのスタチューを見せたり、壁からスタチューが飛び出しているかのように見せたり、とベンチに座って仮面ライダーと一緒に記念撮影できたりと(マクドナルド方式のあれ)、随所に遊び心が感じられます。






ギャラリーショップで売られていたかわいい仮面ライダーのぬいぐるみ。頭と体の大きさのバランスといい、手足のコロンとしたフォルムといい絶妙!まあロングコートはケツがめくれがちで時計の針は折れがちなのはご愛敬。








こちらは1階に展示されていた、ジオラマアーティストの芳賀一洋さんによるトキワ荘のジオラマです。外観はもちろんのこと、展示では全てを見切ることができない屋内の細かな装飾まで作り込まれているのが凄い!しかもどの部屋に誰が入居していたかもちゃんと事実に基づいて作り込まれており、机の上にある原稿の絵柄まで異なるという凝りっぷり。これだけでもかなり見応えがありました。






館内は階段ではなく螺旋状の回廊を歩いて上の階へと移動する構造になっており、その壁もまたレトロフューチャーな宇宙船の雰囲気で作られていました。この丸い窓、無骨な鋲で止められた窓枠、今の宇宙船のデザインのセンスではない、あくまでもレトロなデザインで統一されています。実際これは窓ではなくただの装飾なのですが、そこに石ノ森先生の作品のパネルをはめ込んでいるのが良いですね。








「ショーン・タンの世界展」は2階の常設展示エリアの隣にて開催されていました。残念ながらこの入り口とそこに展示されていた石巻限定作品の折り鶴しか撮影できませんでしたが、鉛筆画、スケッチ、油彩、習作としてのコラージュ、参考資料の写真、さらに原画だけでなくショーン・タン氏がこれまでイラストレーターとして挿絵を担当してきた日本未発売の絵本や小説の展示、アトリエの再現、インタビュー映像、アカデミー短編アニメーション賞を受賞したアニメ版「ロスト・シング」の上映とバラエティに富んでおり、全ての展示を一周するのに2時間程費やしてしまいました。しかし一通り見るとまた最初から鑑賞したくなり、何だかんだ3時間以上居てしまいました。特に印象的だったのは、これまで出版されてこなかった、あくまでも個人作品としての小型の油絵。それは氏の住むオーストラリアの日常風景や、仕事で出向いた海外の風景を印象画のタッチで描いたものでしたが、絵の具をちょっと乗せているだけなのになぜか「これは車だ」と分かる、またちょっとぼかした描き方をしているだけなのに「これは雨の風景だ」と分かる、サッと走り描きしているのに「この女性はスカーフをかぶったイスラム教徒の女性だ」と分かるなど、シンプルなタッチなのに何を描いているかが如実に窺い知れるところに、氏の絵画の基本を忠実に押さえた技量が現れていると思いました。










んふんふ(なお、3階には北上川を見下ろせる展望カフェがあり、そこで「ショーン・タンの世界展」とのコラボメニューが提供されていたのでオーダーしてみました。「エリック」の交換留学生のエリックのスイーツと、「アライバル」の謎の生き物の3Dラテ。こうした”映える”コラボメニューは地方でも頻繁に見られるようになりましたね。私の実家の近所にある「横手市まんが美術館」のカフェでも常時やってるし。)

あとこの展望カフェは細部の装飾が何気に凝っていて、店内のみならず窓の外にも歴代仮面ライダーのフィギュアが固定されており、外の風景を撮影しようとすると必ず彼らが映り込むという仕組みになっていました。あと仮面ライダーたちに見つめられながら飲み食いもできるという…。










せっかくなので常設展示も見てきたのですが、想像していた美術館とはかなり趣が異なり、これはこれで非常に見ごたえがありました。普通、漫画美術館というと漫画家の生原稿やイラストが展示されているのかと想像しますが、ここは絵以上に造型物(プロップ)の展示がてんこ盛り。また無料・別料金で遊べるアトラクションもあり、純粋な美術館というより”アミューズメント型美術館”でした。やはりアニメ化、実写化され現在進行形で人気のある作品は強い!








ホビージャパンやS.M.Hで竹谷さんや韮沢さんのクリーチャーフィギュアにときめいていた世代の仮面ライダーと言えばやっぱりこれでしょう!明らかに他のシリーズとは異なる有機的なフォルムとディティール。たまらん!!




モーションセンサーを使ったアトラクション。入館料とは別に有料のプリペイドカードの購入が必要で、プリペイドカードは当館オリジナルデザインのため記念品にもなります。








それにしてもこの石ノ森漫画館、どこもかしこもド直球にレトロフューチャーで建物自体が眼福でした。順路の各所に人感センサーでキャラの声が聞こえるコーナーがありましたが、わざわざ伝声管を模したデザインにしていたり、ショッカーのアジトやサイボーグ009基地、キカイダーのカプセルも「昔のハイテクメカ」な謎装置だらけだったり。よく見りゃ元が何のパーツだったか分かるんですが、その「ガラクタ寄せ集め感」がまた良かったり。






個人的に一番良かったのはキカイダーの誕生シーンを再現したこの大型プロップ。一見ただの飾りのように見えるこのレバー、なんとちゃんと動いてスイッチになっており、上に引き上げると…






キカイダーが入っているカプセルの上部のストロボが点滅し、キカイダーの体の中に仕込まれていたLEDが発光しました!

…とまあこんな感じで、作品を鑑賞するというより触れて撮って動かせる展示が多く、子供だけでなく大人も楽しめる施設でした。今回の主な目的は「ショーン・タンの世界展」でしたが、思いがけず常設展示や建物自体も堪能できました。また面白そうな特別展が開催されたら再訪してみたいです。


ショーン・タンの世界 どこでもないどこかへ



アライバル



エリック



ロスト・シング



ロスト・シング DVDボックスセット

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